作業療法学科の教育目標
- 1:作業療法の専門性を発揮し実践するために必要な基本的知識と基本的技能を修得する。
- 2:地域社会や医療・保健・福祉の分野で協業するために必要な分野の理解と、社会的倫理観、礼節を身に付ける。
- 3:他者を理解し信頼される人間性を形成するために振り返りと研鑽ができる。
作業療法は、人々の健康と幸せを感じられる生活を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、「作業」に焦点を当てた治療、指導、援助のことです。
作業療法の考えの中で「作業」とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ日常生活の各行為を指しています。
作業療法の「対象」
身体、精神、発達、高齢期の障がいや、環境への不適応により、日々の作業に困難が生じている、またはそれが予測される人や集団を対象とします。
作業療法の「作業」
作業には、日常生活活動、家事、仕事、趣味、遊び、対人交流、休養など、人が営む生活行為と、それを行うのに必要な心身の活動が含まれます。また、その人ができるようになりたいこと、できる必要があること、できることが期待されていることなど、個別的な目的や価値が含まれるものです。
作業療法学科は、将来、医療・保健・福祉の分野に社会貢献できる、豊かな人間性と作業療法に必要な基本的知識と技術を兼ね備えた作業療法士の育成を目指します。
各対象領域ともに病気や障がいを持った方々の生き方・価値観・想いを重視しながら、再び一人ひとりがその人らしく生活できるように働きかけます。また、家屋改造のアドバイスや福祉用具の選択、自助具の作製を行うなどその仕事内容は多岐にわたります。医療や福祉・介護の現場はもちろん、保健・教育・職業領域など、社会活動の現場でも作業療法士は活躍しています。また、病気や障がいを持たないための予防事業も展開されています。
総合病院・精神科病院など (心のクリニック・メンタルヘルスなど)
老人保健施設など (高齢身体障がい・認知症など)
発達障がい支援施設など (自閉スペクトラム症・脳性麻痺など)
基礎分野や専門基礎分野の学習を通し、人の生活を考える基礎や人体構造の理解、医療・保健・福祉とリハビリテーションの概念を学びます。また、専門分野の学修を通して作業療法の基本的な考え方を学びます。臨床見学実習では早期の体験実習を通し、医療職になるうえでの意志を確かなものにし、学内学習へとつなげていきます。
物理学、化学、生物学、心理学、教育学、コミュニケーション論、英語Ⅰ・Ⅱ、保健体育
解剖学、生理学、運動学、運動学実習、人間発達学、医療概論、臨床医学概論、リハビリテーション概論、社会福祉論
作作業療法概論Ⅰ、基礎作業学、基礎作業学実習Ⅰ、評価学総論、日常生活活動学概論、臨床見学実習
専門基礎分野ではリハビリテーションに関連の深い医学各論の学習を通して疾病と障がいの成り立ちや回復過程について学びます。また、専門分野においては対象者の状態を把握するために必要な作業療法の基本的な理論と評価の考え方を学んだうえで、短期実習を通して作業療法過程を学びます。
統計学
応用運動学、病理学、臨床医学総論、臨床心理学、整形外科学、神経内科学、内科学、外科学、精神医学、小児科学、リハビリテーション医学、摂食嚥下学、公衆衛生学
作業療法概論Ⅱ、基礎作業学実習Ⅱ、作業分析論Ⅰ、作業療法評価学Ⅰ~Ⅳ、作業療法評価学演習、作業療法理論Ⅰ~Ⅳ、日常生活活動学、短期実習Ⅰ(評価実習)
臨床に沿った専門的、実践的な専門基礎分野の学習を通しながらチームアプローチについて学びます。また、専門分野の学習を通して各種疾患や障害に対する治療や対応、環境調整について学びます。短期実習では、より実践に向けた臨床技能、臨床思考過程を身につけます。地域作業療法実習では地域における作業療法実践を学びます。
栄養学、薬理学、多職種連携論I・II
基礎作業学実習Ⅲ、作業分析論Ⅱ、各身体障害作業療法学、高次脳機障害作業療法学、精神障害作業療法学Ⅰ・Ⅱ、発達障害作業療法学、義肢装具学、環境適応論Ⅰ・Ⅱ、地域援助論Ⅰ・Ⅱ、作業療法治療学演習、作業療法研究法Ⅰ、作業療法管理学Ⅰ、短期実習Ⅱ(評価実習)、地域作業療法実習
作業療法管理学、研究法などの専門分野の学習を通しながら、卒業後に作業療法士として働いていくうえでの知識と心構えについて学びます。長期にわたる総合実習I・IIでの経験を通して、対象者に対する総合的な作業療法の実践過程や治療者としての対応を学びます。また、総合実習終了後は作業療法士免許取得のため国家試験勉強に取り組んでいきます。
作業療法管理学Ⅱ、作業療法研究法Ⅱ、総合実習Ⅰ・Ⅱ
その他、就職・学生・学校生活におけるイベントが各学年で開催されます。
【長期休み期間】
●夏休み/8月上旬から下旬 ●冬休み/12月下旬から1月上旬 ●春休み/3月中旬から4月上旬を予定しています。作業療法士(国家試験受験資格)
岩手県医療局(岩手)/岩手医科大学附属病院(岩手)/いわてリハビリテーションセンター(岩手)/栃内病院(岩手)/栃内第二病院(岩手)/北上済生会病院(岩手)/南昌病院(岩手)/川久保病院(岩手)/東八幡平病院(岩手)/総合花巻病院(岩手)/介護老人保健施設 ケアコートもりおか(岩手)/大湯リハビリ温泉病院(秋田) ほか
小さい頃からお世話になった祖父母や地元の高齢者の方たちに恩返しがしたいという思いがあり、進路を考える中でこの学校のことを知りました。日常生活に寄り添い、身体だけでなく心のケアもする作業療法士という職業に惹かれ、入学を決めました。
身体の仕組みから実技まで、覚えなくてはならない知識は膨大で大変ですが、陶芸とかマクラメ、タイルモザイクといった作業療法ならではの授業は本当に楽しいです。そういう楽しい気持ちを利用者さんに味わってもらうのも、作業療法ではとても大事なことだと学ぶ授業だと思います。
明るいクラスで仲が良く、グループワークで協力してひとつの課題に取り組むことで一体感を感じています。先輩方も気にかけてくれたり教えてくれたりと、本当によくしてくれるのもこの学校の伝統だと思います。先生方とも信頼関係で結ばれているので、毎日安心して過ごすことができます。
高校卒業後、一時デイサービスで働いていたのですが、そこでリハビリを受けた利用者さんの晴れ晴れとした表情を見て、人に喜んでもらえるリハビリの仕事をしてみたいと思いました。1年の浪人生活を含み2年間のブランクがある僕が、資格を得るためにもう一度学校に入るには勇気が必要でしたが、思い切って飛び込んで本当に良かったと思います。
実技も試験勉強も、クラス一丸となってやったのが懐かしい思い出です。先生方は常に親身になって接してくれ、経験豊富なプロの作業療法士でもある先生方のアドバイスは本当に貴重なものでした。
脳卒中の患者さんが中心の病院に勤務して5年目。患者さんが望んでいるものを引き出して、それを実現できるようお手伝いするのが作業療法ですが、なかなか難しいこともあります。でも、できないと思っていたことができるようになり、ありがとうと言ってもらえるのが最高の幸せです。
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令和3年3月卒業中沢 優さん